皆さまこんにちは。中小企業診断士のぴ。です。
映画から学ぶ第4弾として、「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」に学ぶビジネスに重要な基本スキルをご紹介します!
本記事は、「月間『企業診断』2023年1月号」で掲載された内容を元に書いています。
(ウェブサイト:同友館オンライン、著作名:企業診断編集部)
より多くの皆様に読んで頂きたく、当ブログでもご紹介させて頂きます!
映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」
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— Chef The Film (@ChefTheFilm) October 9, 2014
~あらすじ~
ロサンゼルスにある有名レストランで総料理長を務めるキャスパーは、オーナーの経
営方針に対立してレストランを辞めてしまう。また、軽率なSNS の投稿によってバッシングを受け、料理人としてのキャリアも絶望的になってしまう。
失意のキャスパーは、マイアミでキューバサンドウィッチの美味しさを知り、人々に喜んでもらうため、フードトラックでの移動販売を思いつく。元同僚のマーティンと息子のパーシーの協力もあり、中古のフードトラックを改装した3人は、マイアミからロサンゼルスまでキューバサンドイッチを売る旅をスタートした――。
はじめに
人生の岐路に立たされた料理長の再起を描く映画「シェフ 三ツ星フードトラック始めました」は、家族愛を感じるハートフルコメディである。
しかし、この作品の魅力はそれだけではない。挫折から成功までのストーリーの中で、読者の皆さんもビジネスに重要なスキルを再認識できるだろう。
経営と現場のギャップ
総料理長キャスパーの料理技術は超一流である。職場の部下たちから料理の腕を尊敬されており、同僚との信頼関係も良好だ。一方で、現実主義のオーナーは、指示に忠実でなく、新メニューにチャレンジしようとするキャスパーを信頼しておらず、両者の意見は対立している。
現実のビジネスでも経営と現場のギャップはよくあるだろう。たとえば、DX 推進における組織の変革期において、経営と現場のギャップが露呈する。導入コストやセキュリティなどを重視する経営層に対し、現場は新しい業務プロセスに課題があるといったギャップだ。どちらか一方のみに問題があるわけではない。
しかし、経営と現場のギャップが大きくなると組織は健全に機能しなくなる。DX 推進においても、何のツールを使うか、何を実行するかを考えるよりも前に、まずはこの経営と現場ギャップを埋める作業が必要である。
さて、映画の内容に戻ろう。この作品では料理批評ブロガーの来店が組織の変革期となり、経営と現場のギャップが露呈した。オーナーの指示に反発した総料理長キャスパーは辞職を命じられてしまうのだが、果たして解決策はなかったのだろうか。
やはり、経営と現場のギャップを埋める“橋渡し役”となる人材が必要だろう。副料理長がキャスパーとオーナーとの板挟みになるシーンがあるが、オーナーの圧力と料理長への昇進というニンジン作戦に屈してしまう。もし副料理長が両者の橋渡しをしていれば、キャスパーは辞職せずに済んだかもしれない。
この作品はいかなる組織でも経営と現場のギャップは生まれること、そしてギャップを埋めることの重要性を再認識させてくれる。
SNSの危険性と成功のカギ
キャスパーは天才料理人だが、SNS についてはまったくの素人である。そんなキャスパーに
悲劇が訪れる。自身の料理を酷評したブロガーに対し、Twitter で軽率に反論し、その感情的な言動がYouTube で拡散され、一夜のうちに大炎上。バッシングを受けたキャスパーは料理人としてのキャリアも台なしにしてしまうのだ。
一方で、息子のパーシーは10歳にしてSNSの天才である。大炎上により急速に増加したフォ
ロワーを生かしたSNS 集客の手法は見事だ。GPS情報を活用し、キューバサンドイッチの魅力やフードトラックでの旅の様子をSNS に投稿したことで、旅の行く先々で多くの人たちが到着を待ちわびるほどの人気ぶりとなる。
この作品は“SNS の功罪”というメッセージを投げかけている気がしてならない。監督兼主人公キャスパーを演じたジョン・ファヴロー氏はこう語る。
「キャスパーのように、Twitter 上で思っていることをそのまま吐露してしまうと、キャリアを失うことにもなり得る。一方で、フードトラックのように、もっと小規模でお客さんと直接つながるような商売では、同じようにTwitter を利用することで、以前には不可能だったような方法で顧客層を生み出すことができる」
引用元(MOVIE Collection「『シェフ~三ツ星フードトラック始めました~』ジョン・ファヴロー監督インタビュー」2015年3月6日)。
SNS を活用したマーケティングは、今やどのようなビジネスでも行われ、企業規模に関係なく低コストで対等に競争ができるようになった。10歳のパーシーが広報部長となっているのは映画ならではの設定だが、知識さえあれば誰でも簡単にできるというメッセージでもあるだろう。ただし、簡単に情報を伝達できる反面、誤った使い方をするとバッシングを受け、一夜のうちに社会的信用をなくしてしまう。
この作品はSNS のリスクを再認識できるとともに、SNS マーケティングの成功へのカギも発見できるはずだ。
おわりに
触れ合う時間が少なく、お互いの想いにすれ違いのあったキャスパーとパーシー。しかし、旅の途中で本当に大切なことに気づき始めたキャスパーが、料理人としての信念をパーシーに伝えるシーンがある。まさに、これが親子のギャップが埋まった瞬間だ。
はたして誰が2人の橋渡し役となったのか。いかにしてパーシーがSNS 集客に成功したのか。
この作品を見て確認していただきたい。
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