【映画から学ぶvol.2】映画『アパレル・デザイナー』~アパレル業界の市場と価値連鎖を学ぶ~

映画から学ぶ

映画「アパレル・デザイナー」

今回ご紹介する映画は、「アパレル・デザイナー」です。

時代の波に乗り遅れた老舗アパレル企業を舞台に、新規ブランド立ち上げを目指すデザイナーとプロジェクトメンバーの奮闘を描くストーリーです。
はー
はー

ねーねー、パパってさ。

ファッションセンスゼロなのに何でこの映画なの?

ぴ。
ぴ。

ファッションセンスゼロって酷いなw

最近ね、着物関連の事業者様やレディスカジュアル服を製造販売している事業者様を支援させて頂く機会があったんだよ。アパレルの業界知識やデザイナーやパタンナー等の仕事内容とかすごく勉強になったよ。

はー
はー

ふーん。

デザイナーのお仕事って格好良いよね。

私もファッション業界に興味あるし、

将来デザイナーを目指そうかなー。

ぴ。
ぴ。

そうだね。この映画にはアパレルデザイナーになりたい!と思う人がもっと増えて、日本のアパレルモノづくりを世界にもっと発信して欲しいというメッセージ性もあるように感じたよ。

ただ、世の中のトレンドは目まぐるしく変わるし、デザイナーの競争も激しいね。そのような現実的な厳しさも同時に感じさせる映画だったよ。

映画の内容に関することは、私個人の感想です。基本的に映画からビジネスに関して学ぶという視点ですのでネタバレはしません。

アパレル業界の市場動向を学ぶ

映画の内容に入る前に少しアパレル業界の市場動向についてお話します。

国内アパレル小売市場は厳しい状況

映画の中ではアパレルの市場動向については出てきませんでしたが、昨今のコロナウイルス感染拡大による外出自粛等の影響で、対面型の販売チャネルは大打撃を受けています。

GMSや百貨店等のアパレル用品店は、在庫を持ちたくないことから仕入規制をしており、OEMメーカー等のサプライチェーンの毀損への影響も大きいです。

ぴ。
ぴ。

当然ですが小売業は在庫を減らすと売上も減少しますよね。なので、ヒット商品を生む確率を上げるために季節に応じて商品ラインやアイテム数を増やすといった手法が取られていました。

しかし、これからはコロナ禍や若者の人口減少等の環境変化を踏まえ、売上至上主義のビジネスモデルから脱却する必要がありそうです。

アパレルEC市場は一貫して拡大

一方で、EC市場規模とEC化率はコロナ前から一貫して拡大しています。

(数値参照:経済産業省 HP内の資料より)

また、楽天等のECモールなどの普及により、若年層だけでなく昨今では高年齢層までEC利用率が高まっています。

はー
はー

コロナ前までは、野外イベントの際に可愛い服着てインスタ映えいぇーい!みたいな「コト消費」が主流だったけど、今はオンラインが主流だからリアルな体験よりもリアルな交流を重視する「”トキ消費”や”エモ消費”」という消費行動があるらしいよ。

ぴ。
ぴ。

よ、幼稚園児なのにずいぶんと詳しいね・・

あと、ECで購入することも増えたから、作り手としては品質や安全性なども大事だよね。安かろう悪かろうが通用しない時代だと感じるよ。

あらすじ

では、ここから映画「アパレル・デザイナー」いついてお話していきます。

~アパレル・デザイナーのあらすじ~

老舗アパレル企業のHIRAKATAは、カジュアル化やファストファッションの波に乗り遅れて経営危機に陥っていた。
そんな中、平方社長(役:西村まさ彦)の経営方針に納得できない平方専務(役:前川泰之)は、経営危機脱却のため元社員で一風変わった天才デザイナーの藤村(主演:高嶋政伸)に新規ブランドの立ち上げを依頼する。
藤村は新規ブランドのプロジェクトを成功させるため、外部からパタンナーの加世田京子(役:堀田茜)や靴職人の岸本ゆり子(役:西村美柚)など才能溢れる若い人材を次々と抜擢するが・・・。

本作を楽しむ要素

ファッションに疎くても十分楽しめる

まず本作は、ファッション業界にいる方だけでなく、私のようにファッションに疎い方も楽しめる作品になっています。その要因は、主演のデザイナー役を高嶋政伸というおっ〇んがコミカルに演じていることが大きいと勝手に思いましたwアパレル・ファッションという少し遠い世界感にもかかわらず、現実に近いような雰囲気を良い感じで出してくれています。もちろん、高嶋政伸の演技が素晴らしいということもあるのでしょう。

企業内デザイナーにフォーカスした作品

また本作は、テレビ等でよく出てくるような「カリスマ〇〇」というような個人のみにフォーカスした内容ではなく、「インハウス・デザイナー」と呼ばれる企業内で働くデザイナーを主人公としています。そして、企業内に依然として残る旧弊に苦しみながらも、才能溢れる若い人材の成長と共にプロジェクトに立ち向かっていく姿は企業ドラマとしてとても楽しめます。(あと、堀田茜が可愛いところ・・・)

バリューチェーン(価値連鎖)を学ぶ

さて、ここからは中小企業診断士で学んだ知識的な視点で本作を見た感想をご紹介します。

本作は、ファストファッションと呼ばれる安価でオシャレな洋服が溢れた日本のアパレル業界において、経営難に陥った企業を舞台に、「デザイナーを中心とした作り手たち」にスポットライトが当たっています。

ぴ。
ぴ。

そこで今回は、登場人物一人ひとりの役割(仕事内容)に注目してみていました。

映画のセリフの中で、缶コーヒーを例として、お客様に商品が届くまでには開発に関わっている様々な人の想いがある、というようなニュアンスの話がありました。
アパレルモノづくりにおいても、様々な職業の人が開発に関わり、それぞれのこだわりや想いが重なり合って価値を生み出していくものなんですね。

 

バリュー・チェーン(価値連鎖)とは、原材料や部品の調達活動、商品製造や商品加工、出荷配送、マーケティング、顧客への販売、アフターサービスといった一連の事業活動を、個々の工程の集合体ではなく、価値(Value)の連鎖(Chain)として捉える考え方です。
バリュー・チェーンという考え方を提唱したアメリカの経済学者マイケル・E・ポーターはバリュー・チェーンという概念を生み出す際、組織が日々行っている様々な企業活動を、製品の生産や流通、消費との直接的な関連性の有無によって『主活動(主要活動)』と『支援活動(副次的活動)』の2つに大別しました。(参照元:BIZHINT)
私はアパレルものづくりの業務内容について詳しく無かったので、「経営方針、素材調達、メーカー交渉、デザイナー、パタンナー、宣伝広告、舞台設計」といった役割ごとのモノづくりに対する熱い思いや一連の価値連鎖によって、知名度や売上規模だけではないモノづくりの価値が問われていることを学びました。

さいごに

アパレル関係の事業者様の支援をする際に、アパレル業界を対象とした補助金等を調べましたが全くといっていいほど支援制度が無い状況です。

このコロナ禍における外出自粛による影響は、飲食や宿泊業だけでなく小売店などその他多くの産業で大打撃を受けております。

これからもっと多方面に国や都道府県の支援制度が充実されることを願うと共に、支援制度が限られる中でもアフターコロナ・ウィズコロナを乗り切るための伴走支援をしていけたらと思っております。

以上、今回は映画アパレル・デザイナーのご紹介でした。お時間がありましたらぜひご鑑賞ください!

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