今回から数回に渡り、「2021年版中小企業白書・小規模企業白書の概要」から、ポイントを絞って解説します。個人事業者の皆さまも宜しければぜひチェックしてくださいね!
私は中小企業診断士の受験生時代に中小企業白書を購入して読んでいましたがめちゃくちゃ分厚いですw
全文を読み込むのはかなり大変ですので、概要をまとめた資料を提供してくれるのはとてもありがたいですね!
今回ご紹介する内容の資料は以下からダウンロードできます。今回の記事で興味をお持ちになりましたら、ぜひコチラもご覧ください!
2021年版白書のテーマ・構成
2021年版のテーマは、「危機を乗り越え、再び確かな成長軌道へ」です。
新型コロナウイルス感染症による影響をきめ細かく分析し、その実態を明らかにするとともに、危機を乗り越えるために重要な取組みの事例などが紹介されています。
内容は2部構成となっております。
第1部では「中小企業・小規模事業者の動向」として、新型コロナウイルス感染症による経済的な影響を経営環境(マクロ)・事業活動(ミクロ)の視点で業種ごとに現状を分析しています。
第2部では「危機を乗り越える力」として、財務面やデジタル化、事業承継、小規模事業者の底力などテーマごとに現状を分析し、今後の重要な取組みを指摘しています。
そして、危機を乗り越え再び確かな成長へ進んでいくためには、先ずは自らの財務状況を把握した上で、今後の経営戦略を立てることが必要としています。
概要資料には、損益分岐点比率やローカルベンチマークといった取組みの例が紹介されておりますが、事業者の皆さまには馴染みが無い方もいらっしゃると思いますので簡単に解説していきます。
損益分岐点比率とは何ぞや?
売上減少への抵抗力を分析!
損益分岐点比率とは、利益がゼロになる売上高(損益分岐点売上高)に対して、実際の売上高がどの位置にいるのかを測る指標で、「売上減少への抵抗力」がわかります。
損益分岐点比率の計算式は、以下の式で求めます。
※損益分岐点売上高=固定費÷(1-変動費率)
※変動費率=変動費÷実際の売上高
仮に、損益分岐点売上高が1,000万円で、実際の売上高が2,000万円だとすると、損益分岐点比率は次のようになります。
これの意味するところは、実際の売上高が50%減少しても売上と費用の合計がトントンになることを示しています。
つまり、損益分岐点比率が低いほど、将来の売上減少に耐える力が強くなり、経営が安定しているということが言えます。
一般的には損益分岐点比率が80%以下であれば優良で、100%を超えていると赤字企業ということになります。
なお、損益分岐点比率の分析を行うためには、費用を「変動費」と「固定費」に分ける必要があります。(これを固変分解と言います。)
先ずは難しく考えず、
・販売量に比例して発生するものを「変動費」
・それ以外は「固定費」
と単純に分けて算出しても良いと思います。
分析結果を事業計画に活かす!
では、損益分岐点売上高の計算式も再度見てみましょう。
- 事業所の家賃
- 水道光熱費
- 人件費
- 広告宣伝費
- 減価償却費
- 機械設備費
などがあります。どの固定費の項目も、企業活動を行う上で必須となる費用であるといえます。
助成金・補助金を活用する!
とはいえ、固定費を地道にコストカットするのは至難の業ですよね。
これらの固定費項目の削減策の一つとして、国や都道府県の助成金・補助金を活用することも一つの方法です。
現在、国や都道府県によるコロナ対策支援として、固定資産税等の軽減、電気・ガス料金の支払猶予、国民健康保険料の減免など様々な制度がありますので、日々チェックしておきましょう!当ブログでもできるだけ最新の情報を分かりやすくご紹介したいと思っております。
また、例えば小規模事業者持続化補助金、ものづくり補助金といった補助金では、圧縮記帳による会計処理によって減価償却費の負担を軽減できるメリットもあります。
●圧縮記帳とは●
圧縮記帳とは、補助金を受け取った年度に一度に課税されることを翌年度以降に繰り越す方法です。
補助金額を「固定資産圧縮損」として計上することで、減価償却費を減少することができます。正確には減少するわけではなく、一時的に費用を先送りにする方法ではありますが、非常に重要な会計処理方法です。
まとめ
今回は、「2021年版の中小企業・小規模企業白書の概要」から主に損益分岐点比率についてご紹介しました。
コロナによる危機を乗り越え、再び確かな成長へ進んでいくためには、先ずは自らの財務状況を把握した上で、今後の経営戦略を立てることが必要と白書には記載されていました。
損益分岐点比率は売上減少に対する抵抗力を図る指標とご紹介しました。現在の経営戦略が収益面で正しい道を進んでいるのか?といった分析に役立てることが可能です。
また、財務分析の中でも今後の事業計画を作成する上で非常に重要な指標ですので、中小・個人事業主の皆さまにおかれましてもぜひ取り入れて頂けたら幸いです。
次回は、企業の経営状態の把握、いわゆる「健康診断」を行うツール(道具)として、経済産業省が活用を推奨する「ローカルベンチマーク」についてご紹介したいと思いますのでお楽しみに!
今回は以上です。お読み頂きありがとうございました!
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